金総書記の死、51時間掴めず。対北朝鮮情報監視の不備露呈

執筆者:春名幹男 2011年12月20日
エリア: 北米 アジア

 あまりにも唐突だった北朝鮮の金正日総書記の死去。米国の中央情報局(CIA)、韓国の国家情報院などは結局、17日午前8時半の死去から、19日正午の朝鮮中央テレビのニュースで発表されるまで51時間余り、全く情報が掴めなかった。
 韓国の李明博大統領はこの間、日本で野田佳彦首相と会談、帰国後の19日、70歳の誕生パーティを祝っており、完全に虚を突かれた形。今後、何らかの有事も予測される北朝鮮情勢で大きい課題を残した形だ。
 金正日総書記は地方視察中列車に乗っていて心臓発作を起こしたもようで、恐らく随行員や兵士らが慌てて、平壌に電話をかけたり、緊急医療を施したり、と大きな動きがあったとみられる。しかし、偵察衛星やU2偵察機、あるいは無線傍受などでも、全く金総書記死去の兆候を得られなかったようだ。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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