「それでも主役」サルコジの再選はあるか

執筆者:国末憲人 2011年12月27日
エリア: ヨーロッパ
存在感のアピールに余念がないサルコジ大統領(チェコのハベル前大統領の国葬にて)(c)EPA=時事
存在感のアピールに余念がないサルコジ大統領(チェコのハベル前大統領の国葬にて)(c)EPA=時事

 フランス大統領選の第1回投票を約4カ月後に控えていることを全く感じさせないほど、サルコジ大統領周辺は日常の業務に忙しい。目下の最大の課題、欧州単一通貨ユーロの危機を打開しようと、各国を行脚し、首脳同士で協議を重ね、国民に心構えを訴えかける。大統領を追うフランスのメディアも、まだ大統領選の行方にさほど関心を示さず、当面の危機の分析と展望に勤しんでいる。  大統領選いまだ遠し。それが仏大統領府(エリゼ宮)周辺の感覚だろう。選挙戦になだれ込むのは、現課題の出口が見えてからでいい。そもそも、それが見えるかどうかで、選挙対応も大きく変わる――。そのような意識が人々の間に依然根強いようだ。  もちろん、エリゼ宮のスタッフや右派の与党「大衆運動連合(UMP)」の幹部らは水面下で、サルコジ再選に向けて準備を進めているに違いない。しかし、1月半ばといわれる再選出馬表明まで、大統領自身も選挙を意識するそぶりを極力見せないよう心がけていると思われる。現職の大統領としては、政治課題に全力で取り組む姿を示すのが得策であるに違いない。

カテゴリ:
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top