ギングリッチの失速とロムニーを側面支援する「スーパーPAC」

執筆者:足立正彦 2012年1月3日
エリア: 北米

 2012年の共和党大統領候補選出プロセスの幕開けとなるアイオワ州共和党党員集会がいよいよ行なわれる(米国1月3日)。昨年末から今月1日にかけて相次いで公表されたアイオワ州共和党党員集会に参加すると見られる共和党系有権者を対象とした複数の世論調査では、ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事、ロン・ポール下院議員(テキサス州第14区)、リック・サントラム元上院議員(ペンシルベニア州)の「三つ巴」になる可能性も浮上してきている。

 とりわけ、サントラムは先月後半以降、アイオワ州の福音派キリスト教の影響力のある指導者の支持を次々に獲得し、保守系有権者の間での支持を広げており、アイオワ州共和党党員集会の「台風の目」となりかねない存在となりつつある。先月31日、アイオワ州の地元有力紙Des Moines Registerが党員集会直前の最後の最新世論調査を公表している。Des Moines Registerは4年前の2008年アイオワ州共和党党員集会の直前の世論調査でほぼ正確に党員集会結果を予測したことでも知られている。同最新世論調査ではロムニーが24%を獲得して1位に、ポールは22%を獲得して2位となったが、サントラムは15%を獲得し、ニュート・ギングリッチ元下院議長(ジョージア州第6区)の14%、リック・ペリー・テキサス州知事の11%、ミシェル・バックマン下院議員(ミネソタ州第6区)の7%を上回る結果となった。サンクスギビング(感謝祭)休暇前後からアイオワ州での支持を増大させていたギングリッチは、一時支持率が30%を上回ったが最近急落しており、現在では4位へと後退を余儀なくされている。ギングリッチの支持率急落とは対照的に、サントラムに対する支持はクリスマス休暇直後から急伸している。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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