サウスカロライナ州予備選挙:今後は「ロムニー対ギングリッチ」の直接対決へ

執筆者:足立正彦 2012年1月23日
タグ: アメリカ
エリア: 北米

 前回のコラム(「分水嶺となるサウスカロライナ州予備選挙」)では、序盤州で有利な戦いをしてきたミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事の勢いを保守派候補がサウスカロライナ州予備選挙で止めることができるのか、あるいは、ロムニーがニューハンプシャー州予備選挙に続き勝利して共和党大統領候補指名獲得に事実上王手をかけることになるのかの重要な争いになると指摘した。

 今月21日に行なわれたサウスカロライナ州予備選挙は、ニュート・ギングリッチ元下院議長(ジョージア州第6区)がロムニーを12.6ポイントも引き離す圧勝という結果になった。アイオワ州党員集会、ニューハンプシャー州予備選挙でそれぞれ4位と惨敗したギングリッチがサウスカロライナ州予備選挙で息を吹き返したというギングリッチ個人にとっての意義だけではない。序盤州3州の勝者がすべて異なる結果となり(アイオワ州党員集会:サントラム勝利、ニューハンプシャー州予備選挙:ロムニー勝利、サウスカロライナ州予備選挙:ギングリッチ勝利)、今回の共和党大統領候補選出プロセスが非常に流動的かつ予測困難であることが鮮明になった。現在のような共和党大統領候補選出プロセスが確立された1980年以降では今回のような序盤州3州で異なる結果となるのは初めてであり、従来までは序盤州3州のうち、2つの争いで勝利すれば共和党大統領候補の指名を獲得できていたのである(表参照)。

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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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