堕ちゆく世界の迷走 (17)

「日本だけは別」の時代が終わるとき

執筆者:青柳尚志 2012年1月27日
エリア: ヨーロッパ
他人事ではない(ギリシャのデモ)(c)EPA=時事
他人事ではない(ギリシャのデモ)(c)EPA=時事

 バブル崩壊後の日本は株式や不動産価格の長期停滞が続き、デフレに悩まされてきた。その間に財政赤字は膨らみ、政府債務残高は国内総生産(GDP)の2倍を超えた。にもかかわらず、経済が何とか回っていたのは経常収支が黒字で、借金を国内の資金で埋め合わせることが出来たからだ。今、その前提条件が大きく変わりつつある。  日本経済を取り巻く状況は、昨年3月の東日本大震災を機に様変わりしつつある。1月24日から始まった通常国会では、消費税引き上げ法案が最大の焦点だ。こうした経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)を踏まえた論戦が戦わされるのが望ましいが、実際には衆院の解散・総選挙をにらんだ政局的な思惑が先行するだろう。  バブルが崩壊してから20年ぶり、あるいは1ドル=360円の固定相場制の終焉を告げたニクソン・ショックから40年ぶりというべき大変動の予兆があるのに、当の日本で余り注目されないのは何故か。ほかでもない。昨年来の欧州政府債務危機が余りに騒がしく、世間の関心を集めているからである。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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