高止まり原油価格に「逆オイルショック」の懸念

執筆者:新田賢吾 2012年1月30日
エリア: 中東
ホルムズ海峡周辺で軍事演習をするイラク軍(c)AFP=時事
ホルムズ海峡周辺で軍事演習をするイラク軍(c)AFP=時事

 ペルシャ湾の唯一の出入り口であるホルムズ海峡。湾内のサウジアラビア、イラク、イランなど湾岸諸国には世界の原油埋蔵量の6割があるとされ、ホルムズ海峡を通って出荷される原油も世界の原油生産量の5分の1にのぼる。その戦略的重要性、エネルギー市場への影響の大きさは言うまでもない。核開発を疑われるイランは、昨年末からの米国が主導する経済制裁の動きに反発、対抗措置としてそのホルムズ海峡の封鎖を声高に主張し始めた。

イランの恫喝を歓迎する声

 石油消費国に対する恫喝であり、原油市場は湾岸産油国からの供給減少の可能性を織り込んで、原油価格は1バレル=100ドル前後の水準に上昇、高止まりしている。1978-79年のイラン・イスラム革命以降、たびたび繰り返されてきた手法で、原油価格を押し上げることで、禁輸措置で細りかねない石油収入を確保する戦略だ。だが今回、産油国や投機筋の間には別の空気も漂っている。イランの恫喝を歓迎し、実際にホルムズ海峡が封鎖されることを期待する声だ。
 理由は簡単だ。イランの恫喝という“支え”がなくなれば、原油市況が急落しかねないと認識しているからだ。2003年から上昇を始め、幾度かの揺り戻しも経験しながら上がり続けてきた石油市場は今、下落の方向に大きく転換しようとしている可能性が高い。それは1986年上半期に原油価格が30ドル台から8ドルまで下落した「逆オイルショック」の再来となるかもしれない。

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