ロシアの縁故資本主義

執筆者:名越健郎 2012年1月28日
エリア: ヨーロッパ

  昨年12月にモスクワなどで反プーチン・デモが吹き荒れた背景には、下院選不正批判のほかに、プーチン首相の側近や取りまきのビジネスマンがプーチンの威を借りて不正ビジネスをしている疑惑への反発もあった。

 ロシアのネットサイトでは、プーチンの友人グループによる錬金術を調査した「プーチン腐敗白書」なる報告書が公開されている。ネムツォフ元副首相、ルイシコフ元下院議員ら4人が代表を務め、独立系専門家が調査した。

 それによれば、プーチンはサンクトペテルブルク副市長の地位を追われ、失業中だった1996年、親しい仲間7人と共同出資し、協同組合「オーゼロ(湖)」を設立。ペテルブルク郊外の湖畔別荘地を購入した。この時の共同出資者7人がプーチン体制下で夢のような成功物語を収めた。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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