シリアの首都ダマスカス近郊に及ぶ反政府勢力と政権の反攻

池内恵
執筆者:池内恵 2012年1月30日

  シリア情勢が転換点を迎えている。昨年3月以来10カ月に渡り、全国各地で反政府抗議行動が続くシリアだが、政権が急激な崩壊を免れてきたのは首都ダマスカスでは大規模なデモを未然に阻止してきたことだ。

 ダマスカスの鉄壁の守りに綻びを見せたのが、ここ数日のダマスカス近郊(首都を取り囲む広大な地域が「ダマスカス郊外県」という行政区画に包摂されている)のいくつかの街区での反乱軍の伸長である。シリア軍からの離反兵士による「自由シリア軍」がダマスカスの北東近郊のドゥーマ地区やサクバ地区を掌握したことが国際的に報道された。それにより、中・長期的にはすでに命運が尽きているともいえるアサド政権の、弱体化の度が次の段階に進んだことを、国際的に印象付けた。
http://www.washingtonpost.com/world/middle_east/syrian-revolt-arrives-at-the-capitals-doorstep/2012/01/29/gIQAN0kDbQ_story.html?tid=pm_world_pop

 反乱軍の首都近郊での活動がこのまま持続・拡大するとは限らない。現にアサド政権は29日には首都近郊で大規模な攻勢をかけ、反政府抗議行動や反乱兵士たちを一掃しようとしている。
http://www.bbc.co.uk/news/world-middle-east-16784711

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執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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