サウジ石油相の「原油1バレル100ドル」発言から何を読み取るか

池内恵
執筆者:池内恵 2012年1月31日

  「高止まり原油価格に「逆オイルショック」の懸念」という興味深い記事が本誌に掲載された。

http://www.fsight.jp/article/11157?ar=1&page=0,1

 これに関連して、中東を見ている者にとって気になる発言が1月半ばにあった。サウジアラビアのアリー・ナイーミ石油相が1月16日に行った「原油1バレル100ドル前後で安定させることを望んでいる」という発言である(“Saudi Arabia targets $100 crude price,” Financial Times, January 16)

http://www.ft.com/cms/s/0/af13f09c-405f-11e1-9bce-00144feab49a.html#axzz1kxLZHivV

 サウジアラビアは2008年11月以来、「原油1バレル75ドルが適正」という立場を公式に取って来た。サウジの国家予算も原油価格がこの水準であれば十分に黒字幅を確保するということになっていた。ここには暗黙の参照点があって、それはイランである。イランの財政は1バレル75ドル水準では苦しく、それがサウジへの生産抑制・原油価格つり上げの要請につながり、対立点になって来た。サウジが公然と「1バレル100ドル」を容認するどころか望むというのであれば、イランとの原油価格に関する対立点はなくなってしまう。

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執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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