欧州支援に「そんな食欲はない」と言った温家宝

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2012年2月5日
カテゴリ: 金融

いま、中国をドイツのメルケル首相が訪れているが、ちょうど欧州の金融危機のまっただ中であるだけに、中国側がどんな対応を取るのか、注目されていた。ドイツは中国にとって欧州で最大の貿易相手国であり、中国に対する投資が欧州で最も多い国でもある。

メルケルは訪中中にリベラルな報道で知られる「南方週末」を訪れようとして断られたり、人権派の弁護士に会おうとしたりして、それなりに中国政府を困らせてはいたが、カウンターパートになった温家宝とは、首相としての訪中が五回目とあって、二人はけっこう打ち解けた雰囲気だったようである。

 欧州の債務問題については、3兆ドルの外貨準備を持つ中国の支援の動向が注目されているが、温家宝はかなり慎重な物言いに終始していた。IMFを通じた支援程度しか具体的な言及はなかった。1990年代のアジア通貨危機に見せたときのように「私たちが救いに行きます」といったタイプの言動にはなっていないところが、より、今回のメルケル訪中ではっきりしたような印象だ。

欧州は中国の最大の貿易相手で、欧州の失速は中国の失速につながりかねないという危機感はあるが、アジアのときと違って、欧州という先進国を中国が支援するということへの大義名分が経済力の面からも地域的な面からも、十分に立たないところもある。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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