尖閣を巡る新たな火種と政治の真価

2012年2月20日

 日本政府は、領海基線を構成する尖閣周辺の無人島に名前をつける決定をした。年内に、国土地理院の地図に載せる方針だ。これに対し中国は、1月17日付け人民日報紙上で「尖閣は中国の核心的利益」と断じる論評をした。
これを受け、日本では、産経新聞が2月3日付けの社説で「中国が本気で尖閣諸島を狙ってくるサインと受け止め」るなど、自衛隊常駐を含む「尖閣の有人化」が必要との主張がなされている。

 今のところ、中国政府は「核心的利益」に言及しておらず、公船による意図的な領海侵犯や、海軍艦艇が現れる事態には至っていない。当面、中国は、メディアを通じて日本を牽制しつつ、「相手の出方を待つ」姿勢のようだ。

 問題は、核心的利益とは何かが説明されていないことだ。それ故、中国の意図はたえず不透明であり、我が方は先を読んだ外交が難しい。核心的利益とは、常識的には、戦争をも辞さないほどの国益を言うのだろう。チベット・台湾は、まさにそれに該当する。では、尖閣はどうか。

 日中平和友好条約は、二国間問題を平和的手段により解決し、武力または武力による威嚇に訴えないことをうたっている。尖閣の帰属は、同条約締結時から中国自身が「棚上げ」を主張してきた二国間問題である。それを「核心的利益」と規定することは、同条約に違反しないのか。相手国が関わる問題を、中国独自の意思で核心的利益と規定すれば、それは、「力ずくでもやる」ことになるのか。人民日報は、言葉を弄ぶ前に、その点を説明しなければならない。

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