忘れ去られた「レーガンの不文律」とネガティブ・キャンペーン

足立正彦
執筆者:足立正彦 2012年2月21日
カテゴリ: 国際
エリア: 北米

 共和党は僅か約1年3カ月前の2010年11月に行なわれた中間選挙では、保守派有権者の自然発生的な草の根運動であるティーパーティー(茶会党)運動の追い風を受けて歴史的勝利を収め、下院では過半数の議席を民主党から奪回した。共和党系有権者の間では2012年大統領選挙でもオバマ再選を阻止してホワイトハウスを4年ぶりに奪回し、また、上院でも過半数の議席を獲得して共和党主導の政治体制を築こうとするエネルギーに満ちていた。だが、2012年共和党大統領予備選挙・党員集会がスタートしてから約1カ月半が経過したが、これまでのところ共和党系有権者の投票率や参加者数が低調となっており、4年前の共和党大統領候補指名獲得争い当時と比較すると、今回は投票率が平均約10ポイントも低下してしまっており、共和党系有権者の盛り上がりに欠けているのが現実である。

 今回の共和党大統領予備選挙・党員集会の投票率や参加者数が低調な一因として、スーパーPAC(政治活動委員会)の大統領候補選出プロセスにおける影響力の増大とネガティブ・キャンペーンの増加を挙げることができる。スーパーPACが大きな影響力を持つことで、特定候補を標的にしたネガティブ・キャンペーンの色彩が一段と際立つ結果となっている。かつてロナルド・レーガン元カリフォルニア州知事は共和党大統領候補指名獲得争いでは候補者の政策批判は行なっても、個人攻撃は行なうべきではないと主張し、共和党内にはレーガンから引き継がれたそのような「不文律」が存在していた。実際、1976年共和党大統領候補指名獲得プロセスで、現職大統領のジェラルド・フォードを相手に共和党全国党大会まで争ったレーガンは、フォードの対外政策などを厳しく批判したが、フォードの人格を標的にした選挙キャンペーンは決してしようとはしなかった。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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