インド人学生、中国で医師を目指す

執筆者:山田剛 2012年3月2日
カテゴリ: 国際 医療

 インドの医療水準には定評がある。正確に言うと、海外からのメディカル・ツーリズム客を受け入れているような高級病院チェーンでの医療水準なのだが、心臓外科や人工関節、骨髄移植などの分野ではかなりのレベルにあるのは間違いないだろう。経済成長による所得増に加え、日系保険会社などが相次ぎ進出していることもあって医療保険加入者も順調に増えており、医療は一大サービス産業になりつつある。信用格付け会社フィッチによると、インドの医療サービス部門は現在約650億ドルの市場規模であり、これが今後も年率20%で成長、2015年には1000億ドル規模に達する見通しだという。

 だが、肝心の医学教育や医師・医療スタッフ養成という点ではかなり心もとない状況だ。ニューデリーにある国立医大の最高峰・全インド医科大学(AIIMS)はじめ、インドの医大の募集定員は軒並み100人前後。2011年度現在、全国に335校の医大、医学部があるが、毎年の卒業生は約4万人しかいない。アポロ・ホスピタルズやマックス・ヘルスケアなど、日本人駐在員にもおなじみの有名病院チェーンではそれぞれ自前の医大設立に乗り出し、各地で私立医大の開校や定員拡充の動きもあるが、医師不足の解消にはほど遠い。

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執筆者プロフィール
山田剛 日本経済研究センター主任研究員。1963年生れ。日本経済新聞社入社後、国際部、商品部などを経て、97年にバーレーン支局長兼テヘラン支局長、2004年にニューデリー支局長。08年から現職。中東・イスラム世界やインド・南アジアの経済・政治を専門とする。著書に『知識ゼロからのインド経済入門』(幻冬舎)などがある。
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