深層レポート 日本の政治 (146)

険しくなった「話し合い解散」への道

執筆者: 2012年3月6日
タグ: 日本
エリア: アジア
2月29日、党首討論を前に握手する野田佳彦首相(左)と自民党の谷垣禎一総裁 (C)時事
2月29日、党首討論を前に握手する野田佳彦首相(左)と自民党の谷垣禎一総裁 (C)時事

 野田佳彦首相(民主党代表)と谷垣禎一自民党総裁が都内で極秘に会談したという情報が2月29日夜、永田町を駆け巡った。政界の歴史を振り返れば与野党党首会談そのものは決して珍しいことではない。だが、この情報は政界に異様な速度で伝わった。  2人の会談が持つ重大な意味が、よほど鈍感な議員でないかぎり容易に理解できたからだ。2人が協議した内容は消費税増税法案成立に向けた連携と、それに連動する衆議院解散……それ以外に考えられなかった。永田町の誰もがそう推測した。解散日程の決定は、衆院議員をクビにする日が決まるということを意味する。いつの衆院選でも同じだが、選挙日程が早い方が有利と考える議員と遅い方が有利と考える議員が存在する。しかも今回は、衆院選が消費税増税法案成立前なのか後なのか、野田内閣の支持率が現状のままなのかもっと低くなるのか、橋下徹大阪市長が率いる「大阪維新の会」の勢いが今後も続くのかここから下り坂なのか――などの変数が複雑に絡み合い、有利か不利かを読みにくい状況だ。そんな中での極秘会談に、議員らは「極秘会談→消費税法案成立→衆院選近し」のシナリオを考えて困惑し、次から次へと伝えられていったのだ。

カテゴリ: 政治
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