王室を軸に中国傾斜が進むタイ

樋泉克夫

 中国丸抱えの大規模ダム建設の中止を宣言する一方、アウンサンスーチーとクリントン米国務長官の“抱擁”を認めるなど、ミャンマー政権は従来の親中姿勢からの転換を模索しているようだ。これとは対照的に、隣国タイはミャンマーに代わるかのように一層の中国接近をみせはじめた。その主役がタイ王室なのだ。

 2月20日、タイ最有力商業銀行の1つであるカシコン・タイ(華字名は泰華農民)銀行のバンコクにある本店で開かれた「第9回 中タイ友好研究討論会」にシリントーン王女が出席し「農村協同組合と農村発展過程におけるその働き」と題する講演を行なっている。この研究討論会は王女計画事務室、タイ農業省農協促進局、中華全国供銷合作(購買販売協同組合)総社の3者による共同主催で、両国政府関係者や研究者など500人強が参加するなど、この種の国際集会としては比較的規模の大きなものだった。

 王女は、「9年目を迎える研究討論会は両国友好の活動の一環であり、双方は『自力更生と自助協力』の考えを基礎に農民組織の持続可能な発展を検討し、組織管理と各種のリスク防止につき経験を交流している」と挨拶した後、農村における自らの体験から学生協同組合によって青少年の人づくりを進め、地域の安定を確立することができると語っている。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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