東南アジアに加えアラブ・イスラム圏も巻き込む中国の「西部大開発」

樋泉克夫
執筆者:樋泉克夫 2012年3月6日
カテゴリ: 経済政策・社会保障
エリア: 中東 中国・台湾

 中国の国家発展改革委員会が策定した「西部大開発125規画」――西部地域を舞台に環境、交通、水利・水力、科学技術・教育などを軸とする125の開発プロジェクト――が2月20日、国務院によって正式決定された。これによって広西チワン族自治区の北部湾(トンキン湾)など11の重点経済区の優先的開発推進の方向が定まっただけでなく、国境を挟んで東南アジア大陸部諸国に臨む昆明、南寧、重慶、貴陽などの重要都市における対外開放を促し、さらに中国西部に位置する寧夏地区と西に連なるアラブ・イスラム圏の都市との連携を進めようという方針も打ち出された。

 中国政府は90年代初頭から雲南、貴州、四川、広西チワン族自治区などを南に連なる東南アジアと結びつけることで、立ち遅れた西南地区の開発を進め成果を挙げてきた。この手法を西部大開発に応用しようというのだ。今回の決定によって、西南地区と東南アジアを従来以上に連携させる一方、西方で国境を接するイスラム諸国を西部大開発に連係させ、自国内の遅れた地区の開発を国際レベルに引き上げ促進しようと狙っている。

 中国側は、2010年初頭に発足した「ASEAN・中国自由貿易区」について貿易、サービス、投資などの面で取引規模は順調に拡大していると高く評価し、今回の政府決定はASEAN・中国自由貿易区の拡大に繋がると看做す。たとえば対外開放都市としての建設方針が策定された広西チワン族自治区の中心都市の南寧は同地区とシンガポールとを結んだ「南星経済走廊」、昆明は東南アジア大陸部の国々を鉄道網で結び付けようという「泛亜鉄路」――それぞれの起点として正式に位置づけたことになる。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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