全人代と腐敗

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2012年3月10日

いま、北京で開催中の全国人民代表大会について、香港の新聞が面白い記事を出し、話題になっている。

「リッチで、ハイソで、腐敗している人々は誰の代表なのか」

そんなタイトルで、全人代のメンバー三千人のうち、過去四年間の任期中に違法行為や党紀違反で資格停止となった者が26人、そのうち4人には死刑判決が出されている、と報じたのだった。

全人代は、中国の最高決定機関であり、国家主席も全人代で決まる。しかし、そのメンバーは、事実上、共産党の指名によって決められている。全人代のメンバーは基本的に地方の幹部か、そうでなければ地方の有力企業の会長や社長、そうでなければスポーツ選手、芸能人など著名人も多い。

記事は「人民代表大会は、もともと花瓶の花であったが、実はそうではなく、腐敗の温床であった」と皮肉り、「全人代は、権力に服務するものになっていて、人民に服務するものではない。偽の選挙によって選ばれた偽の代表だ」と手厳しい。

ちょっと前に、河南省のある市長が史上最短の就任49日で汚職が判明して罷免されるという問題が起きたが、この市長もその地方の人民代表大会で選ばれ、人民代表大会で罷免が決まっている。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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