呉克烈氏家族の金正恩氏前での合唱

平井久志
執筆者:平井久志 2012年3月11日
エリア: 朝鮮半島

 北朝鮮の労働新聞や朝鮮中央通信は9日、金正恩氏が平壌大劇場で行なわれた国際婦女節を記念した8日の銀河水(ウナス)音楽会「女性は花だね」を観覧したと報じた。

 金正恩氏の銀河水公演観覧はこれまでも何度も報じられているが、驚いたのはその観覧の中での出来事だ。

 朝鮮中央通信によると、「音楽会が盛り上がる中で観覧者も舞台に招請された」と伝え、観覧者の一部が舞台に上がって歌を歌ったと伝えた。

 舞台に上がった観覧者として報じられたのが李龍河(リ・リョンハ)党第1副部長夫婦、金元弘(キム・ウォンホン)軍総政治局組織担当副局長夫婦、呉克烈(オ・グクリョル)国防委副委員長家族の3組の夫婦や家族たちだった。

 李龍河第1副部長夫妻は「母への思い」、金元弘夫妻は「魅惑と欽慕」、呉克烈氏家族は「私の母さんがうれしくて一度笑えば」「私の愛、私の幸福」という歌を歌ったという。

 本サイトでも指摘したが(2012年3月7日「『速度戦』の金正恩後継体制づくり(上)進む指導部固め」)、4月中旬に開催される党代表者会では呉克烈国防委副委員長の処遇がどうなるかが焦点だ。

 その呉克烈副委員長夫妻がともに公演を観覧しただけでなく、舞台に上がって家族で歌を歌うとは。80歳の元老格の幹部が30歳にもならない金正恩氏の前で忠誠を誓い、それがメディアで公開されたわけだ。呉克烈副委員長が牙を抜かれたような感じがする。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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