経済の頭で考えたこと
経済の頭で考えたこと(47)

あまりにも危うい国会の郵政論議

田中直毅
執筆者:田中直毅 2012年3月13日
エリア: 日本

 私は2006年4月以降、郵政民営化委員会の委員長を務めてきた。この委員会は2005年の「郵政選挙」によって勝利した小泉純一郎首相が郵政民営化関連法を制定し、広く民営化過程の監視のために、法によって位置づけたものである。持株会社としての日本郵政株式会社が全般的な経営に当たるなか、民営化委員会の位置づけはサッカーのゲームと対比すればラインズマンに相当する。選手、監督、コーチ、リポーター、解説者、観衆のどれでもなく、ラインズマンの役割を想定するのは、オフサイドやボールのライン越えについて的確な判断を下すことが求められているからだ。
 日本郵政株式会社とその傘下で事業を行なう4社は、依然として政府を唯一の株主として戴く特殊法人である。金融2社は株式の完全売却ののちは民有民営の普通の金融機関となるが、それまでは政府の関与が持続するため、新商品の開発・販売については純粋な民間金融機関との間のイコール・フッティング(競争条件の均衡)の設定という観点が必要となる。法は民営化委員会に対して新商品の許可についての検討を托した。オフサイドかどうか、についての認定者という位置づけだというのはこの意味である。

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執筆者プロフィール
田中直毅
田中直毅 国際公共政策研究センター理事長。1945年生れ。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年より本格的に評論活動を始める。専門は国際政治・経済。2007年4月から現職。政府審議会委員を多数歴任。著書に『最後の十年 日本経済の構想』(日本経済新聞社)、『マネーが止まった』(講談社)などがある。
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