決定打なき新たな核ゲームの始まり――北朝鮮とイランへの米国の対応

2012年3月13日
カテゴリ: 金融

「悪の枢軸」から10年


ブッシュ米国大統領による北朝鮮・イラン・イラクを名指しした「悪の枢軸」演説から10年が経つ。核開発阻止の趣旨に反して、イラクでの戦争は徒労に終わり、北朝鮮は2度の核実験を実施し、イランは核開発を続けている。

 先日、米朝間で「ウラン濃縮の停止」と「栄養補助食品の提供」という電撃的合意が結ばれた。米国は、北朝鮮の政権移行期における食料不足につけこむ形で、北朝鮮を交渉の場に引き出すことに成功した。しかしながら、核が有力な交渉カードであることを知る北朝鮮が、すんなり核開発を放棄するとは誰も思っていない。

 イランは、ウラン濃縮を公然と加速させている。イスラエルの先制攻撃が噂される中、米国は、「軍事的選択肢はある」としながらも、爆撃で核開発を阻止することは不可能(デンプシー統合参謀本部議長)、イランは核兵器製造の決定を下していない(パネッタ国防長官)など、当面の実力行使には慎重な姿勢を示している。

 イランへの経済制裁は、確かに効果を挙げている。だが、それは、制裁で生じた生活難に対する大衆の不満が、国会議員選挙において強硬派に勝利をもたらすなど、交渉を通じた問題解決にとっては「逆効果」であることも否定できない。 

戦争をしたくない米国

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