まだまだボランティアは必要だ

出井康博
執筆者:出井康博 2012年3月19日
カテゴリ: 社会
エリア: 日本

 東日本大震災から丸1年を迎えた今月上旬、テレビや新聞では被災地に関する大特集が組まれた。ただし、現地で活動するボランティアを取り上げたものは少なかった。震災後の数カ月はボランティアの必要性が叫ばれたが、すでに役目は終わったのだろうか。
 事実、ボランティアの数は激減している。岩手・宮城・福島の被災3県での活動者数は、昨年5月の約17万人をピークに減少が始まり、今年1月には1万2千人程度にまで落ち込んだ(「全国社会福祉協議会」調べ)。
 筆者は昨年7月、2泊3日でがれき撤去のボランティアに参加し、その体験は本サイトにも寄稿した(2011年8月1日「まだまだボランティアが足りない」)。それから半年以上が経つが、現場はどうなっているのか。2月最後の週末、ボランティアとして活動した岩手県陸前高田市を再び訪ねた。

雪かきを続ける若者たち

雪かきをする若者たち(筆者撮影、以下同)
雪かきをする若者たち(筆者撮影、以下同)

 午前9時半、前夜から降り続く大粒の雪が勢いを増していた。岩手県は雪国のイメージだが、沿岸部では珍しい大雪だという。雪を避け、テントの下に置かれたスピーカーから地元・陸前高田出身の歌手・千昌夫の「北国の春」が繰り返し流れるなか、シャベルを手にしたボランティアの若者10人以上が黙々と雪かきを続けている。  陸前高田未来商店街――。もとは田んぼだった場所にテントを並べた仮設商店街だ。魚の加工品店や衣料品店、農家の直売店など14店舗ほどから成る。震災前には70店が軒を連ねた名物「けせん朝市」の復活版である。昨年10月から毎週末、この場所で開かれている。  人口2万4000人の陸前高田では約1700人が津波の犠牲となり、中心街も壊滅してしまった。街には今も10メートルを超すがれきの山があちこちに残る。朝市が再開されたのも、中心街から少し離れた場所である。 「ほんとに有り難いよね。ボランティアの人たちがいなけりゃ、寂しいもんだよ。雪かきするにも、自分たちだけでは大変だから」  同商店街で理事を務める伊藤博之さん(58歳)と話し込んでいると、女性ボランティアが紙コップに入った熱いお茶を差し出してきた。 「うれしいねえ! 美女にお茶をもらえるなんて」  伊藤さんが大げさに言うのを聞き、周囲の商店主たちから笑い声が上がった。女性は卒業を間近に控えた大学生で、静岡県からやってきたのだという。  そんなやり取りを、ヒゲ面の大柄な男性がニコニコしながら見守っている。女性ボランティアが所属するNPO法人「遠野まごころネット」で、陸前高田担当チーフ・マネージャーを務める黒住忠雅さん(42歳)だ。

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執筆者プロフィール
出井康博
出井康博 1965年岡山県生れ。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『THE NIKKEI WEEKLY』記者を経てフリージャーナリストに。月刊誌、週刊誌などで旺盛な執筆活動を行なう。主著に、政界の一大勢力となったグループの本質に迫った『松下政経塾とは何か』(新潮新書)、『年金夫婦の海外移住』(小学館)、『黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人』(講談社+α文庫)、本誌連載に大幅加筆した『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『民主党代議士の作られ方』(新潮新書)がある。最新刊は『襤褸(らんる)の旗 松下政経塾の研究』(飛鳥新社)。
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