“プードル”に噛まれたメルケル

執筆者:佐藤伸行 2012年3月21日
エリア: ヨーロッパ

 去る3月18日、新たなドイツ大統領を選出する連邦集会が招集され、旧東独反体制活動家・牧師のヨアヒム・ガウク氏(72)が第11代大統領に選ばれた。メルケル首相の与党、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と連立パートナーの自由民主党(FDP)、最大野党の社会民主党(SPD)と緑の党が支持した挙国一致の大統領だ。

 ガウク新大統領は、旧東独スターリン体制の暗黒の中で自由のための戦いを続け、ドイツ統一後はシュタージ(旧東独国家保安省)が冷酷な市民監視の下で収集・作成した膨大な個人情報資料を管理する通称「ガウク機関」の長官を務め、旧東独人権侵害の被害者救済に尽力した功績で知られる。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
佐藤伸行(さとうのぶゆき) 追手門学院大学経済学部教授。1960年山形県生れ。85年早稲田大学卒業後、時事通信社入社。90年代はハンブルク支局、ベルリン支局でドイツ統一プロセスとその後のドイツ情勢をカバー。98年から2003年までウィーン支局で旧ユーゴスラビア民族紛争など東欧問題を取材した。06年から09年までワシントン支局勤務を経て編集委員を務め退職。15年より現職。著書に『世界最強の女帝 メルケルの謎』(文春新書)。
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