郭兄弟逮捕――早くも「党員治港」が動き出したのか

樋泉克夫
執筆者:樋泉克夫 2012年4月2日
カテゴリ: 経済・ビジネス 国際

 3月25日に長官選挙が一段落した直後から、香港は激震に見舞われている。それというのも、香港経済の中心でもある不動産開発業で業界第3位の新鴻基(サンフォンカイ)地産集団を経営する郭炳江(トーマス・クオック/1951年生まれ)、郭炳聯(レイモンド・クオック/1952年生まれ)兄弟に加え、香港政府No.2の政務司司長を務めたことのある許仕人(ラファエル・ホイ/1948年生まれ)が不動産取得に関する不正疑惑で逮捕されたからだ。

 郭兄弟は選挙戦で梁振英に惨敗した唐英年を一貫して支持していた。これに対し、彼らの長兄に当たる郭炳湘(ウォルター・クオック/1950年生まれ)は梁支持だ。じつは彼ら3兄弟は父親の郭得勝が起した新鴻基地産を順調に拡大させ、一時は李嘉誠が率いる香港最大の長江実業グループを凌ぐ経営規模を誇ったこともあったが、08年、“お家騒動”が勃発した。

 長兄の経営方針に弟2人が猛反発。これに最大の株主として隠然たる影響力を保持していた兄弟の母親が参戦し、長兄から経営権を剥奪し、社外に追放してしまったのだ。いわば敗残の身となった郭炳湘に残ったのは全国政治協商会議委員としての公職のみ。ところが今回の長官選挙では全国政治協商会議委員に与えられる選挙委員として、多くの企業家が唐英年を支持する風潮に逆らって梁振英支持を表明し、著名企業家としては例外的に梁推選委員に名を連ねていた。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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