裏返った「COIN」は元に戻るか? アフガニスタン戦略に苦悩する米国

2012年4月6日

 サラエボ事件、盧溝橋事件をはじめ、「一発の銃声」から戦争となった歴史がある。戦争では、より多くの銃弾を最後まで撃ち続けたほうが勝つ。20世紀、国家間の近代戦における「勝利」とは、破壊と殺傷による敵国の屈服を意味していた。

 一方、今日の「破綻国家」に関わる国内治安を巡る戦いでは、より多くの敵を殺すことよりも、市民を守り、市民の支持を獲得することが重要になる。そこでは、銃弾や「死体」の数ではなく、誰が誰を殺し、あるいは誰を守ったかが勝敗を決める。

 アフガニスタン南部カンダハルで、米軍兵士が銃を乱射し、子供や女性を含む多数の市民を殺傷したことで米軍への反発が高まっている。カルザイ大統領が外国軍隊の早期撤退を要求する事態に発展し、オバマ政権のアフガニスタン「出口戦略」が破綻に瀕している。

「出口戦略」は、アフガニスタンの治安部隊を強化し、自立を促したうえで、来年夏からの撤退開始、再来年の完全撤退を目標としてきた。そのため、まずは基本的な治安を回復すべく、米軍を増派して武装勢力を掃討し、掃討した地域を保持し、住民保護を通じて「住民の心」を獲得する「反乱鎮圧作戦(Counter Insurgency:COINと略称される)」を導入した。イラクで、ペトレイアス将軍が導入して成功をおさめたドクトリンだ。

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