薄煕来がすべてを失った日

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2012年4月11日

 昨晩、出張のため北京に到着して、ホテルに入った夜の10時ごろ、中央電視台をつけると、重慶市の前トップ・薄煕来の職務停止と、その妻の谷開来の殺人容疑での身柄拘束のニュースが流れていて、びっくりした。政治スターだった薄煕来がすべてを失うことが100%確定した日として記憶されるだろう。

谷開来が、昨年11月に重慶で変死した英国人ビジネスマンのニール・ヘイウッドの死亡に深く関わっているとの憶測は流れていたが、こんなに当局の動きが速いとは思わなかった。温家宝首相の全人代での「紅衛兵」批判の激しさには異様な雰囲気が漂っていたし、大量の武器が見つかったという観測も流れていて、激しい政治闘争が進行していることを想像させたが、この事件の素早い展開は、恐らくは、次の指導部選びが本格化する夏をにらんだ政治的意図が働いていると読むこともできる。

今朝、道路脇の新聞スタンドに出かけていくと、人気がある「新京報」はほとんど売り切れていて、ほかの新聞も次々と出勤する人々が手にとっていた。

このニュースは、中国の人にとってはむしろ我々よりも情報が得にくく、薄煕来が大変なことになっている程度しか知らない人も多かったので、驚きをもって受け止められているのだろう。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
逆張りの思考
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順