米国によるミャンマー制裁解除の行方

執筆者:渡部恒雄 2012年4月11日
カテゴリ: 国際 金融

 アウンサンスーチー氏が国会議員として当選したミャンマーの補欠選挙の結果について、米国は極めて肯定的な反応をしている。クリントン国務長官は、国交正常化に向けて数日中に大使を任命すると述べ、また金融や投資部門での制裁の段階的な解除を行なうことも示唆している。大使人事については、現在の特使のデレク・ミッチェルが任命されるのではないかという観測がワシントンで流れている。ミッチェルは中国専門家で、キャンベル国務次官補と近い関係にあるため、スムーズな移行が期待される人事ではある。筆者のワシントンCSIS時代の同僚で、日米同盟の強い支持者でもある。

 4月4日付のニューヨークタイムズ紙の記事「U.S. Moves Toward Normalizing Relations With Myanmar」は米国内の制裁解除の具体的な内容にも触れている。ただし、これまでの米国のミャンマー制裁は、議会のいくつかの法案が積み重なってできたもので、議会の同意がないことには完全な制裁解除とはならないとも指摘し、制裁が完全に解除されるまでは数年かかるとみている。

 そしてここが肝なのだが、国務省の匿名の高官からの情報として、オバマ政権としては、金融、農業、観光、テレコミュニケーションといった特定の分野の制裁を、政府の権限で例外扱いにするという展開を考えていると述べている。投資に関しては、米国の財務省が制裁をコントロールしているが、ここが緩和措置をとれば、投資を行なうことは可能のようだ。木材と宝石というミャンマーの軍政が管理しているものには手を付けないが、金融部門の制裁緩和で、ミャンマーを訪ねる旅行者がクレジットカードを使用することは可能になると見られている。この経済面でのメリットは大きいだろう。

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執筆者プロフィール
渡部恒雄 わたなべ・つねお 東京財団上席研究員。1963年生れ。東北大学歯学部卒業後、歯科医師を経て米ニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチで政治学修士号を取得。1996年より米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員、2003年3月より同上級研究員として、日本の政党政治、外交政策、日米関係などの研究に携わる。05年に帰国し、三井物産戦略研究所を経て現職。著書に『「今のアメリカ」がわかる本』など。
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