忘れてはならない資源、化学肥料

平野克己
執筆者:平野克己 2012年4月12日
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: 北米 アフリカ

 わが国のアキレス腱である資源問題と、アフリカ政策はとても深く関係している。レアメタルに関してはこの場でも何度かふれてきた。今回は、化学肥料のお話をしたい。

 肥料の3大要素は窒素、リン酸、カリ。その原料はリン酸肥料がリン鉱石、カリ肥料がカリ鉱石で、窒素肥料についてはアンモニアだが、アンモニア合成には天然ガスが使われるので実質的には天然ガスが原料だ。日本はかつて窒素肥料の輸出国だったが、1973年のオイルショック以後競争力を失って生産量は半減、現在では輸入依存率が20%になった。

 リン酸肥料に関してはこれまで日本は、中国からリン鉱石を輸入して製造してきたが、現在の輸入依存率は50%。中国は世界最大のリン鉱石産出国で、世界最大のリン酸肥料生産国でもある。農業増産とともにその生産量はものすごいスピードでのびていて2007年には輸出超過になったが、翌2008年にはリン鉱石にもリン酸肥料にも100%をこえる関税がかけられた。国内の肥料消費を優先させるために中国政府は輸出を抑制しているのである。中国に次ぐリン鉱石産出国はアメリカだが、もう資源が枯渇しかかっていて、すでに禁輸措置がとられている。

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執筆者プロフィール
平野克己
平野克己 1956年生れ。早稲田大学政治経済学部卒、同大学院経済研究科修了。スーダンで地域研究を開始し、外務省専門調査員(在ジンバブエ大使館)、笹川平和財団プログラムオフィサーを経てアジア経済研究所に入所。在ヨハネスブルク海外調査員(ウィットウォータースランド大学客員研究員)、JETRO(日本貿易振興機構)ヨハネスブルクセンター所長、地域研究センター長などを経て、2015年から理事。『経済大陸アフリカ:資源、食糧問題から開発政策まで』 (中公新書)のほか、『アフリカ問題――開発と援助の世界史』(日本評論社)、『南アフリカの衝撃』(日本経済新聞出版社)など著書多数。2011年、同志社大学より博士号(グローバル社会研究)。
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