重慶事件でざわつく中国社会

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2012年4月12日

いま中国では、前重慶市トップ薄熙来の党政治局員職務停止および妻の谷開来の殺人事件容疑での身柄拘束を受けて、国を挙げての「反省会」が開かれている。テレビでは、中国全国各地で「党中央の正確な決定を守り抜こう」という人民日報の評論をみんなで一生懸命に読んでいる姿が映像つきで報道されていて、いま中国の人たち(特に党員)は、これから連日いろいろ面倒な思いをさせられるのだろう。

久々の大型の政治スキャンダルに、中国全体がざわついている。そんな感じだ。北京のスターバックスで仕事先と待ち合わせていたら、隣にいた男性の3人組が「薄熙来職務停止」の見出しが載った新聞を読みながら、「以后做什么都要谨慎点儿(これから何をするにしても慎重にしないとな)」とささやきあっていて、思わず吹きだしてしまった。

きっと、(過剰な)公費出張とか、公費接待とか、公費留学とか、中国社会でみんなが美味しい思いをしてきたところにも、腐敗撲滅を掲げている胡錦濤と温家宝が今回の事件をきっかけに、最後の最後でいろいろと切り込んでくるのだろうという予感が中国社会全体に漂っている。

中国13億人に君臨する共産党の指導者グループである政治局員がこうした事件に巻き込まれて、普段は分厚いベールに包まれている中国政治の奧をのぞける機会はめったにない。天安門事件の後では、1997年の陳希同・北京市書記と、2006年の陳良宇・上海市書記事件の2度の追放が思い浮かぶ。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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