薄一家スキャンダルの裏で、中英米情報機関が暗闘

春名幹男
執筆者:春名幹男 2012年4月27日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 北米 中国・台湾

 失脚した元重慶市トップの中国共産党幹部、薄熙来氏の新たな「悪事」が中国、米国、英国などのメディアで、毎日のように暴露されている。事態は、これら諸国の情報機関も絡んだ暗闘に発展しそうな勢いだ。

 問題は、米英の情報機関が一連の事件を通じて、どれほど中国共産党内の権力闘争にかかわる機微な情報を入手できたか、反対に中国側はどれほどダメージをコントロールできたか、だ。米英が今後の対中戦略に生かせる機密情報をつかんだ可能性も否定できないのではないか。

 薄氏夫人、谷開来容疑者に昨年11月殺されたとされる英国人実業家ニール・ヘイウッド氏は英紙デーリー・メールによると、英対外情報機関MI6工作員が設立した情報企業ハクルート社のコンサルタントを務めたことがあり、MI6に情報を提供していたとみられている。MI6の上部組織にあたる英外務省はヘイウッド氏が「MI6に雇用されていた事実はない」(ヘイグ英外相)と否定したが、情報提供の有無には言及していない。薄氏一家と親密だったヘイウッド氏に対して、MI6が協力を求めない方がおかしいとみるべきだ。MI6はヘイウッド氏を通じて、中国共産党政権の内部情報を得ていたに違いない。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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