中露合同演習の疑心暗鬼

執筆者:名越健郎 2012年4月28日
エリア: ヨーロッパ アジア

 4月末に黄海で6日間実施された中露の合同軍事演習「海上協力2012」は、米軍のアジア太平洋重視戦略に対抗する狙いがあった。しかし、中露間の相互不信も増幅しつつあり、一枚岩とはいかないようだ。

 演習には、中国艦船18隻、ロシア艦船7隻が参加。航空機迎撃演習や対潜水艦攻撃訓練も行なわれた。米国の空母機動艦隊や潜水艦を拡充する海上自衛隊を想定した訓練とみられる。演習地域は、米韓両軍が北朝鮮をにらんで共同訓練をする海域に近く、米韓両軍の連携に対抗する目的もある。

 だが、中国初の空母ワリャーグは参加せず、噂された両国艦隊の対馬海峡通過はなかった。海上補給や救難訓練、海賊からの人質救出など防衛的な側面もあった。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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