フランス社会党の変容と極右の台頭

渡邊啓貴
執筆者:渡邊啓貴 2012年5月1日
カテゴリ: 国際 政治
エリア: ヨーロッパ

 フランス大統領選第2回投票の1週間前の4月29日、私はパリ市内のベルシー体育館(フランス最大の国内競技場)でのオランド社会党候補のパリ最後の大集会に出かけた。予定の2時になってもスタンドは半分ほどしか埋まっていない。

 第1回投票で首位に立ち、各世論調査機関はいずれも第2回投票で10%前後の大差でオランドが勝利をおさめると予測。しかしふと2002年の記憶が蘇った。

 このときは、今ひとつ盛り上がりに欠けながらも、第2回投票では現職大統領のシラク(共和国連合RPR)候補と現職首相のジョスパン社会党候補の一騎打ちになるものと見られていた。しかし左派が動員に失敗。28%という高い棄権率は潜在的なジョスパン支持票の動員の失敗だった。そしてコンマ差で極右ルペン国民戦線(FN)候補が第1回投票で2位となり、決戦投票に残った。その時の記憶が頭をよぎった。

 しかし、これは私の杞憂だった。定刻に少し遅れて次々と有力政治家が登場。さすがに前回の大統領候補セゴネル・ロワイヤルが現れたときには人の輪がひときわ大きくなった。今回大幅に支持率を減らしたエヴァ・ジョリ環境派の候補と次代の環境派リーダーと目されるデュフロ、オブリ党第一書記、ジョスパン元首相、ユー元共産党書記長、ラング元文化大臣、下馬評ではオランドが勝利したときの首相第1候補・エロー上院議長などが続々登場。ステージではラッパー、ロック・バンドらによるショータイムが始まり、次第に会場の熱気は高まってきた。

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執筆者プロフィール
渡邊啓貴
渡邊啓貴 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。1954年生れ。パリ第一大学大学院博士課程修了、パリ高等研究大学院・リヨン高等師範大学校客員教授、シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員研究員、在仏日本大使館広報文化担当公使(2008-10)を経て現在に至る。著書に『ミッテラン時代のフランス』(芦書房)、『フランス現代史』(中公新書)、『ポスト帝国』(駿河台出版社)、『米欧同盟の協調と対立』『ヨーロッパ国際関係史』(ともに有斐閣)『シャルル・ドゴ-ル』(慶應義塾大学出版会)『フランス文化外交戦略に学ぶ』(大修館書店)『現代フランス 「栄光の時代」の終焉 欧州への活路』(岩波書店)など。
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