日米「にらみ合い」でTPPに失速懸念

執筆者:加瀬友一 2012年5月7日
エリア: 北米 日本
日本がボールを投げ返さないと交渉は進まない(c)EPA=時事
日本がボールを投げ返さないと交渉は進まない(c)EPA=時事

「私の考えは変わっていません……」  4月30日午後、米ワシントン。ホワイトハウスで初めてオバマ大統領と会談した野田佳彦首相は、共同記者会見で歯切れが悪かった。日米首脳会談の中で、日本が環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に参加するかどうか、首相は明言できなかった。首相のポジションは昨年11月から一歩も進んでいない。「TPP交渉への参加に向けて関係国との協議に入る」。ハワイで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の直前に首相が表明した方針だ。 では、その「関係国との協議」はどうなっているのか――。  4月10日午後4時。ワシントンのホワイトハウスと通りを1つ隔てたビルで、玄葉光一郎外相と米通商代表部(USTR)のロン・カーク代表が向かい合っていた。 「議会と利害関係業界(ステークホルダー)が強い関心を示している問題があります」  日本のTPP交渉への参加をめぐる日米2国間の事前協議。カーク代表の物言いは、予想以上に慎重だった。  米政府としての関心や懸念を語っているのではない。日本の市場開放について懸念している「主体」は、米議会や米業界であり、それらの風圧の下に置かれた米政府は、今は難しい立場に置かれている。カーク代表は、いわば「間接話法」で、ワシントンの政治状況を語り始めたのだ。この微妙な表現の中に米オバマ政権の目下の苦しい立場が透けて見える。

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