2004年大統領選との相似――「接戦州」3州が焦点に

執筆者:足立正彦 2012年5月7日
エリア: 北米

 共和党大統領候補指名獲得を事実上確実にしたミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事が現職のバラク・オバマ大統領に挑む2012年米国大統領選挙は、今年11月6日に行なわれる。過去の大統領選挙と比較すると今回の大統領選挙はどの大統領選挙に近い争いになるかについて、今回取り上げてみたい。

 オバマ大統領が当選した前回2008年大統領選挙では現職の正副大統領が出馬しなかったため、共和党大統領候補のジョン・マケイン上院議員(アリゾナ州)との、上院議員同士の一騎打ちとなった。現職大統領として再選を目指すオバマ大統領にとり、大統領選挙キャンペーンでは「経済・雇用問題」が「アキレス腱」になると見られている。そのため、今回の大統領選挙は接戦になる可能性が高いと概ね見られており、実際、オバマ大統領とロムニーとの直接対決を想定した各種世論調査でも2人の支持率は大きくはかけ離れておらず、接戦を示す結果が相次ぎ明らかになっている。現職大統領であったロナルド・レーガンがウォルター・モンデール元副大統領を相手に、ミネソタ州とワシントンD.C.以外の全米49州を制し、地滑り的勝利を収めて再選を果たした1984年大統領選挙のような選挙になるとはとても考えられない。リーマンショック発生1カ月余り後に行なわれた前回2008年大統領選挙で、オバマ大統領は上院議員在職僅か3年10カ月にもかかわらず、共和党政権の経済失政の中で大統領選挙人365人を獲得し、同173人を獲得したマケインを192名も引き離して勝利した。元々、共和党の強固な地盤であったインディアナ、ヴァージニア、ノースカロライナといった州でオバマ大統領は1964年のリンドン・ジョンソン以来44年振り、あるいは、1976年のジミー・カーター以来32年振りの勝利を収めている。だが、今回も2008年大統領選挙の再現となることは考え難く、オバマ大統領は前回よりもさらに厳しい選挙に直面することは確実だ。

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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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