天下り規制の新展開 ~国と大阪の「天下り根絶」競争へ

原英史
執筆者:原英史 2012年5月19日
カテゴリ: 政治
エリア: 日本

 

国での天下り規制について、この部屋でも何度か触れてきた。
ここ数年、「天下り根絶」という掛け声はかかり、法改正もなされたが、天下りはなくならなかった。
なぜかというと、致命的だったのは、監視機関の立ち上げが放置されてきたことだ。
 
かつて安倍内閣のとき、国家公務員法改正により、あっせん規制、求職活動規制、退職後の口利き行為規制を導入された。監視のため、「再就職等監視委員会」を設けることも定められた。
 2008年12月末に改正法は施行され、監視委員会も法律上は設置されたはずだった。
 
ところが、委員の人選が国会同意されず、実質的に未発足の状態が続いた。民主党政権になってからは、人事案の提示さえなされず、その間、天下りと思しき事例が続出した。例えば、東京電力の顧問に前・資源エネルギー庁長官が就任し、「あっせんの事実はないので、天下りではない」と称していたことなどが一例。
監視をしていなければ、どんな規制を作っても、ザルになるのは当然だ。
 
 当部屋などで繰り返し問題指摘を続けたかいもあったのか、2011年になって、ようやく民主党政権も人事案提示に方針転換。今年3月に、同意人事が成立し、委員会の発足に至った。
 
 遅すぎた発足ではあったが、5名の委員の方々には、徹底的な天下り根絶に取り組んでいただきたいと思う。
 
 一方、公務員制度改革といえば、今や、最先端を行くのは、大阪だ。
 大阪府では「職員基本条例」がこの3月に成立。
 天下り規制では、国の監視委員会に相当する役割を担う、「人事監察委員会」も定められた(天下り監視以外に、懲戒処分・分限処分のチェックも担う)。
 
 こちらは、条例成立後、あっという間に、委員会が立ち上げられた。
 
 メンバーには、従来、国での天下り規制に関わってきた面々も加わっているなど、意気込みのほどは見てとれる。
・古賀茂明氏(元・国家公務員制度改革事務局審議官)
・屋山太郎氏(かつての「国家公務員制度の総合的改革懇談会」委員)
・長谷川幸洋氏(かつての「官民人材交流センター制度設計懇談会」委員)
 
 以下では、国の「再就職等監視委員会」と、大阪府の「人事監察委員会(天下り規制関連)」のメンバーを、並べておく。
 両チームで、「天下り根絶」競争が繰り広げられることを期待したい。
 
国「再就職等監視委員会」
・委員長:羽柴駿(弁護士)
・委員:伊東研祐(慶応大学法科大学院教授)
・委員:篠原文也(政治解説者・ジャーナリスト)
・委員:番敦子(弁護士)
・委員:笠京子(明治大学公共政策大学院教授)
 
大阪府「人事監察委員会」(退職管理部会)
・委員長:大仲清(公認会計士・税理士)
・委員:古賀茂明(元国家公務員制度改革事務局審議官)
・委員:土橋純二郎(社会保険労務士)
・委員:長谷川幸洋(東京新聞・中日新聞論説副主幹)
・委員:屋山太郎(政治評論家)
 
(原 英史)
 
この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
原英史
原英史 1966年東京都生れ。東京大学法学部卒、米シカゴ大学院修了。89年通商産業省(現・経済産業省)入省。大臣官房企画官、中小企業庁制度審議室長などを経て、2007年から安倍・福田内閣で行政改革・規制改革担当大臣の補佐官を務める。09年7月退職。株式会社政策工房を設立し、政策コンサルティング業を営む。大阪府・市特別顧問、国家戦略特区ワーキンググループ委員(内閣府)、社会保障審議会年金事業管理部会委員(厚生労働省)を務めるほか、NPO法人万年野党理事、「地方議会を変える国民会議」発起人など。著書に『官僚のレトリック』(2010年、新潮社)、『「規制」を変えれば電気も足りる』(2011年、小学館101新書)、『日本人を縛りつける役人の掟/岩盤規制を打ち破れ』(2014年、小学館)、『国家と官僚』(2015年、祥伝社新書)。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
価値あるバックナンバー
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順