「メルコジ」から「メルコランド」へ――独仏連帯とEUの行く末

渡邊啓貴
執筆者:渡邊啓貴 2012年5月20日
エリア: ヨーロッパ

 5月15日17時20分、大統領就任式を終えて、メルケル首相との会談のためにドイツに向かったオランド大統領の専用機ファルコン7Xが落雷にあった。爆弾が爆発したような衝撃だったが、大統領は冷静で、「行けるかね」と機長に尋ねたという。すぐに飛行機は引き返して、別の飛行機に乗り換えて1時間遅れでオランド大統領はドイツに無事到着。事なきを得たが、それは独仏関係の今後を暗示しているかのような出来事だった。

 会談では独仏両首脳は自分の母国語で語り合った。「私たちは普遍的な言葉で話しました。それは利益共同体、それぞれの知性の言葉です」とオランド大統領は強調した。独仏連帯がいかに重要で個別の利己的な利益を超えたものであるかを強調したかったのである。個別の見解の相違はあっても、ヨーロッパ統合に関しては先ず「独仏連帯ありき」と言いたかったのであろう。

 しかし3月に調印したEU緊縮財政協定、ギリシアの経済成長などをめぐって、両者の見解の違いは隠しようがなかった。いや、むしろオランド大統領はそれを敢えてあからさまにして見せようとした。その点がサルコジ前大統領との違いであり、おそらくオランド大統領はそれを大いに意識している。

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執筆者プロフィール
渡邊啓貴
渡邊啓貴 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。1954年生れ。パリ第一大学大学院博士課程修了、パリ高等研究大学院・リヨン高等師範大学校客員教授、シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員研究員、在仏日本大使館広報文化担当公使(2008-10)を経て現在に至る。著書に『ミッテラン時代のフランス』(芦書房)、『フランス現代史』(中公新書)、『ポスト帝国』(駿河台出版社)、『米欧同盟の協調と対立』『ヨーロッパ国際関係史』(ともに有斐閣)『シャルル・ドゴ-ル』(慶應義塾大学出版会)『フランス文化外交戦略に学ぶ』(大修館書店)『現代フランス 「栄光の時代」の終焉 欧州への活路』(岩波書店)など。
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