第二のインド経済危機は来るのか

 インド経済に変調が目立ち始めた。昨年来のドル資金流出に加えユーロゾーン危機に伴うドル高の影響で、通貨ルピーは史上最安値を相次ぎ更新。原油価格高騰と相まって輸入物価及び工業製品価格の上昇につながっている。また4月の消費者物価上昇率は野菜や食用油などの高騰を背景に年率10.36%と前月の同9.38%から二ケタに上昇した。これにより、かねてインド中銀(RBI)も消極的だった追加利下げがさらに遠のいたと受け止められており、企業の設備投資や資金調達、ローン販売に頼る乗用車や高額家電、住宅などの販売に影響しそうだ。

 さらに、2011年度は原油の輸入価格上昇などを背景に1800億ドルを超える貿易赤字を計上。IT関連輸出などサービス貿易での黒字や海外出稼ぎインド人からの送金では帳尻を合わすことができず、経常赤字が鮮明となっている。また、10年度にGDP比5.9%に達した財政赤字を圧縮するためには税制改革はもちろん、歳出の12%強を占める補助金の削減が急務だが、政治的にセンシティブな問題でもあり、抜本的な改革は進んでいない。要するに、インドは「双子の赤字」に直面しており、今後状況が改善しなければインドはますます国際金融市場の荒波を受けることになるだろう。

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執筆者プロフィール
山田剛 日本経済研究センター主任研究員。1963年生れ。日本経済新聞社入社後、国際部、商品部などを経て、97年にバーレーン支局長兼テヘラン支局長、2004年にニューデリー支局長。08年から現職。中東・イスラム世界やインド・南アジアの経済・政治を専門とする。著書に『知識ゼロからのインド経済入門』(幻冬舎)などがある。
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