仏「男女同数」内閣に隠されたオランドの狙い

執筆者:国末憲人 2012年5月23日
エリア: ヨーロッパ

 オランド新政権の下で、閣僚を男女同数の17人ずつとしたエロー社会党内閣が誕生した。一見、これは左派にありがちな「男女平等への意欲を示すパフォーマンス」のように見える。しかし、真の狙いはもっと周到で、戦略的だ。政界と政治のあり方を大きく変革しようとする野心が秘められていると考えるべきだろう。

オランド新政権で首相に就任したエロー氏と17人の女性閣僚(c)AFP=時事
【上段左から】エロー首相、トゥーレーヌ社会保健相、ポー=ランジュヴァン教育達成担当相、フィリペティ文化通信相、ヴァロー=ベルカセム女性権利相兼政府報道官、フィオラゾ高等教育研究相
【中段】トビラ法相、ドロネ高齢者担当相、ルブランシュ国家改革相、ペルラン中小企業担当相、カルロティ障害者担当相、フールネロン体育相
【下段】ブリック環境相、バト司法担当相、ベルティノティ家族問題担当相、ベンギギ在外者仏語圏担当相、デュフロ地域間格差是正住宅相、ピネル手工業商業観光担当相
オランド新政権で首相に就任したエロー氏と17人の女性閣僚(c)AFP=時事 【上段左から】エロー首相、トゥーレーヌ社会保健相、ポー=ランジュヴァン教育達成担当相、フィリペティ文化通信相、ヴァロー=ベルカセム女性権利相兼政府報道官、フィオラゾ高等教育研究相 【中段】トビラ法相、ドロネ高齢者担当相、ルブランシュ国家改革相、ペルラン中小企業担当相、カルロティ障害者担当相、フールネロン体育相 【下段】ブリック環境相、バト司法担当相、ベルティノティ家族問題担当相、ベンギギ在外者仏語圏担当相、デュフロ地域間格差是正住宅相、ピネル手工業商業観光担当相

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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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