ポピュリスト? 改心者? セルビア新大統領の不透明感

国末憲人
執筆者:国末憲人 2012年5月24日
カテゴリ: 国際 文化・歴史
エリア: ヨーロッパ

 セルビアの首都ベオグラードを3年ぶりに訪れたのは、今年1月のことだった。核不拡散問題の取材でわずか2日間の滞在だったが、旧知のジャーナリストに街を少し案内してもらった。変化と言えば、ドナウ川の支流に新しい橋が架かった程度で、街中の古びたビルは相変わらず。期待されていたロシアからの投資も進んでないようだ。「何の進展もないね。失業者だらけで、生活は苦しくなるばかりだよ」とジャーナリストはぼやいた。

 そのセルビアの大統領選決選投票が今月20日にあり、大方の予想を裏切って、民族派「セルビア進歩党」のトミスラブ・ニコリッチ氏(60)が小差で当選を果たした。事前の世論調査では、欧州派の現職ボリス・タディッチ氏(54)が58%対42%で圧勝の様相だっただけに、大番狂わせだ。低投票率が生んだ事件だと考えられる。

(2008年大統領選でのニコリッチ氏。この頃は右翼ポピュリストと呼ばれていたが……)

 ニコリッチ氏は、大セルビア主義を掲げる右翼民族政党「セルビア急進党」の元幹部で、ユーゴスラビア時代にはミロシェビッチ独裁政権下で副首相を務 めたこともある。2000年の独裁崩壊後、04年、08年と続けてセルビア大統領選でタディッチ氏に敗れた。一般的にはポピュリストの政治家と見なされて きた人物だ。

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執筆者プロフィール
国末憲人
国末憲人 1963年生れ。85年大阪大学卒。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。富山、徳島、大阪、広島勤務を経て2001-04年パリ支局員。外報部次長の後、07-10年パリ支局長を務め、GLOBE副編集長、本紙論説委員のあと、現在はGLOBE編集長。著書に『自爆テロリストの正体』(新潮新書)、『サルコジ―マーケティングで政治を変えた大統領―』(新潮選書)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』(いずれも草思社)、『ポピュリズム化する世界』(ダイヤモンド社)、共著書に『テロリストの軌跡―モハメド・アタを追う―』(草思社)などがある。
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