「ソリンドラ社破綻」でオバマを攻撃するロムニー

執筆者:足立正彦 2012年6月4日
エリア: 北米

 5月17日付のコラムで、投資会社ベインキャピタルCEO当時のミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事の経営手腕を厳しく批判するオバマ陣営の選挙キャンペーンについて取り上げた。今回は、ロムニー陣営のバラク・オバマ大統領の経済失政に関する選挙キャンペーンに焦点を合わせたい。

 オバマ大統領は2009年1月の政権発足直後から、新産業の育成、環境保護の強化、あるいは、地政学的リスクが高い中東産原油に対する過度の依存からの脱却というエネルギー安全保障の確立といった観点から、再生可能エネルギー政策を重視する姿勢を鮮明にしていた。オバマ政権は「グリーン・ニューディール政策」を積極的に推進する一環として、エネルギー省(DOE)が太陽光発電や風力発電をはじめとするクリーン・エネルギー普及に向けて連邦政府の融資保証を供与するプログラムを導入した。カリフォルニア州フレモントを本拠地とした最先端太陽光発電用パネル製造企業であったソリンドラにも総額5億3500万ドルもの巨額の融資保証が供与されている。オバマ大統領自身も昨年5月にソリンドラの本社を訪れた際、クリーン・エネルギー企業の象徴としての同社を取り上げるとともに、自らが政権発足直後の2009年2月に成立させた大型景気刺激策「2009年米国再生・再投資法(ARRA)」の具体的成果としても大々的に誇示していたのである。

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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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