太平洋同盟の結成――3極に収斂する中南米の通商戦略

遅野井茂雄
執筆者:遅野井茂雄 2012年6月11日
カテゴリ: 国際
エリア: 中南米

 6月6日チリ北部のアントファガスタで、チリ、ペルー、コロンビア、メキシコの4カ国首脳が集まり、枠組協定の締結により、太平洋同盟(Alianza del Pacifico)が発足した。2011年4月、ペルーのリマで4カ国首脳が統合に向け基本合意し、12月メキシコでの首脳会議など約1年間の交渉を経て、GDP、人口ともに中南米全体の3分の1を占め、ブラジルと肩を並べる規模の市場統合が正式に発足することになった。

 太平洋同盟は、ペルー・ガルシア大統領が2007年シドニーでのAPEC首脳会議で提唱した「太平洋の弧」(Arco del Pacifico)構想にさかのぼる。中南米の太平洋諸国が自由貿易の下に結集してアジア太平洋との関係を強化し、アジア経済の発展のダイナミズムを取り込み、各国の社会発展に繋げることを意図したものだ。

 4カ国は、いずれも米国とFTA(自由貿易協定)を発効させ、相互にFTAを締結している。コロンビアを除く3カ国はAPEC加盟国であり、日本ともEPA(経済連携協定)を結び、TPP交渉参加に取り組んでいる。すでに4カ国は株式市場の統合(ラテンアメリカ統合市場MILA)を実現。今回は当初から参加していたパナマに加え、コスタリカもオブザーバーで参加するなど同盟の拡大が視野に入っている。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄
遅野井茂雄 筑波大学大学院教授、人文社会系長。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(編著)。
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