ムスリム同胞団が勝利宣言──エジプト大統領選挙速報

池内恵
執筆者:池内恵 2012年6月18日

 エジプトの大統領選挙の決選投票が6月16・17日に行われた。各投票所で開票が行われ、結果が中央に集まってくる過程だが、投・開票の過程が各候補の監視員やメディアに公開されているため、よほどの接戦でない限りは半日ほどで大勢が判明する。

 18日の午前3時50分ごろから、ムスリム同胞団の推薦候補ムハンマド・ムルスィー候補陣営が記者会見を始めた。それによれば、97.6%の開票段階で、ムルスィー候補が52.5%の得票率で当選確実と発表した。続いてムルスィー候補自身が演説を行い、国民統合を訴えた(アル=ジャジーラなどテレビ各局の中継。この項は現地時間4時30分現在の情報に基づいている)。

 第一回投票ではムスリム同胞団が最も早期・正確に開票推計を行ったため、その発表の信頼性は高い。また、旧体制・軍が支持するシャフィーク候補を当選させるための不正行為が決選投票では危惧されるため、早めに勝利宣言をして開票過程の不正常な動きを阻止しようとする戦略でもあるだろう。シャフィーク陣営は敗北を認めておらず、公式の開票・集計によって結果が覆る可能性がないではない。

 国軍最高評議会はまさに投票最終日の17日に、新大統領の権限に制約を課す「憲法宣言追加条項」を発出した。これは昨年3月に国軍最高評議会が発出した「憲法宣言」を補うものだが、ムスリム同胞団の大統領当選を見越して急遽出したものという印象だ。軍の人事権や予算への大統領・議会による統制を排除し、開戦など重要事項の決定について国軍最高評議会に最終決定権を持たせる内容である。
http://english.ahram.org.eg/NewsContent/1/64/45350/Egypt/Politics-/English-text-of-SCAF-amended-Egypt-Constitutional-.aspx

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執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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