経済の頭で考えたこと
経済の頭で考えたこと(50)

遂に利下げ「中国経済」が狙撃される4つの理由

田中直毅
執筆者:田中直毅 2012年6月19日
繁栄はいつまで?(中国・上海の高層ビル群)(C)時事
繁栄はいつまで?(中国・上海の高層ビル群)(C)時事

 6月7日に中国人民銀行が金利の引き下げを発表した。中国はリーマン・ショックが起こった2008年には相次いで金利を下げたが、2010年からは物価上昇が中国経済を襲ったため金利の引き上げに転じていた。  2011年の夏以降は中国経済の減速が明らかになったため、預金準備率の引き下げを行なって流動性の増加を図り、銀行の貸し出し態度を積極化させようとしてきた。まだ物価上昇懸念が残っていたため、利下げは手控えていた。  しかし、6月にはついに利下げに入らざるをえなくなった。興味深かったのは、これを受けての世界の株価の動きである。欧米では自国にとっても好材料と受け止められて株価は上昇に転じたが、日本、台湾、韓国など中国経済との密接な関係をもつ市場では株価は下落した。香港も上海ももちろん下落した。  アジア各国での受け止めの方が、中国経済に起きていることを直感的に理解しているように思われる。金利の引き下げは、中国経済の内部に起きている厳しい調整局面に対しての最初の政策的踏み出しに過ぎず、その効果は期しがたいという受け止め方だろう。中国における政策上の手詰まりを感じざるをえない、というのがアジア各地の投資家の判断であろう。

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執筆者プロフィール
田中直毅
田中直毅 国際公共政策研究センター理事長。1945年生れ。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年より本格的に評論活動を始める。専門は国際政治・経済。2007年4月から現職。政府審議会委員を多数歴任。著書に『最後の十年 日本経済の構想』(日本経済新聞社)、『マネーが止まった』(講談社)などがある。
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