CIAの対シリア秘密工作が抱える危険なリスクとは

春名幹男
執筆者:春名幹男 2012年6月24日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 北米 中東

 米中央情報局(CIA)が数週間前、事実上内戦に陥ったシリアの反政府勢力への支援を視野に、秘密工作を開始したようだ。
14日付ウォールストリート・ジャーナル、続いて21日付のニューヨーク・タイムズ、と2つの米紙が伝えた。

 オバマ米政権はチュニジアやイエメンのように、アサド大統領が退陣して後継に引き継ぐ「管理された政権交代」をロシアなどに持ち掛けていたが、プーチン・ロシア政権はこれに同調せず、アサド政権への武器供給を継続、当初の計画は行き詰まった。

 戦闘激化で国連シリア監視団(UNSMIS)が停戦監視活動を停止するほど事態は深刻化、死者が1万人を超える状況となり、放置すれば、11月の米大統領選で再選をかけるオバマ大統領に悪影響を与えるとの懸念があったとみられる。

 米国務省はシリアの反政府系市民向けに医薬品や通信機器計1500万ドル(約12億円)の拠出を決めているが、米政府はシリアの反政府武装勢力への直接的な軍事支援は当面避ける方針。武器供与など軍事支援はトルコやサウジアラビア、カタールといった米国の「代理国家」が実行しているとみられる。サウジアラビアとカタールは反政府武装勢力に武器を供与するとともに、民兵に「給料」を支払っていると伝えられている。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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