民主主義は持続可能か(上)「欧米中」それぞれの事情

2012年7月2日
カテゴリ: 国際 政治 金融
エリア: 日本

――世界各地で民主主義の機能不全が起きている。財政危機を克服できない欧州、保守とリベラルの亀裂が深まるアメリカ、政局にあけくれる日本。「決められない民主主義」「問題解決できない民主主義」への不満は募るばかりだ。はたして民主主義はこれからも統治システムとして機能するのか、持続可能なのか――。2人の論客が語り合った。

宇野重規(うの・しげき)東京大学教授。1967年生れ。専攻は政治思想史、政治哲学。著書に『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社、サントリー学芸賞)、『〈私〉時代のデモクラシー』(岩波新書)などがある。
宇野重規(うの・しげき)東京大学教授。1967年生れ。専攻は政治思想史、政治哲学。著書に『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社、サントリー学芸賞)、『〈私〉時代のデモクラシー』(岩波新書)などがある。

宇野重規 まず、世界の大きな見取り図でいうと、去年はすごくおもしろい1年だったという気がするんです。  一方では、チュニジアのジャスミン革命をきっかけに「アラブの春」と呼ばれる動きが中東に広がり、いままでリベラルではなかった地域においても民主化の火が燃え上がった。また資本主義の1番の中心地であるウォールストリートをアメリカの若者たちが占拠して、1%に富が集中する現状に対する異議申し立てを行なった。貧富の差が拡大していく中で世界的に民主主義への要求が高まり、その声が挙がった。こうして見ると、民主主義にとって非常によい、慶賀すべき1年だったと言いたくなる。  他方において、これくらい民主主義の評判が悪かった1年もないという感じもする。その象徴がギリシャの危機。国際的に金融の状況が厳しく、国内での財政制約が求められているのに、国民がそれをなかなか呑まず、国民を説得できなかったパパンドレウ首相が国際的な不信任を突きつけられた。そして国際的なエコノミストが代わりに首相になった。経済的に厳しい状況の中で、民主主義というのは自己制約すらできない、これだともう統治システムとして成り立たないのではないか、というのが基本的な論調になってきた。日本でもやはりそういう文脈ですよね。  この両面をどう理解するのかということだと思うんです。

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