「情報源」の自殺で露呈したインテリジェンスの問題点

春名幹男
執筆者:春名幹男 2012年6月29日
カテゴリ: 政治
エリア: 日本

 6月14日、本欄で日本インテリジェンス・コミュニティが挙げた「異例の成果」について伝えた(「日本のインテリジェンス・コミュニティが異例の成果」)。

 4月15日の金日成北朝鮮国家主席生誕100年の軍事パレードに登場した新型弾道ミサイルの発射台用特殊車両WS51200が中国から輸出されていたことを示す証拠を日本が掴んでいた、という情報である。このニュースは6月13日付朝日新聞朝刊がスクープ。大手各紙も追いかけ取材して報じた。

 しかし、極めて残念なことだが、その情報源とみられる外務省国際情報官室の企画官(47)が20日、千葉県茂原市内で自殺していたことが分かった。彼は海上保安庁から外務省に出向していた。

 25日の記者会見で、山根隆治外務副大臣は、質問に答えて「プライバシーにかかわることなのでお答えを差し控えさせていただきたい」とコメントを拒否した。情報漏れによって報道される結果となったため、「内部調査」を行なったのか、との質問に対しても、「調査を行なったかどうかについてもコメントをしない」とガードが堅かった。

 このまま真相不明のまま闇に葬られることになれば、インテリジェンス上極めて重要な教訓も失われてしまう恐れがある。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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