メドベージェフ首相の奇怪なパフォーマンス

執筆者:名越健郎 2012年7月11日
エリア: ヨーロッパ

 改善しかけた日露関係に冷や水を浴びせたメドベージェフ・ロシア首相の3日の国後島訪問が、政治的復権を狙う同首相の個人的パフォーマンスであることは明らかだ。

 もともと択捉島を訪れる予定だったが、天候悪化で断念。天気が回復した国後島に急遽変更して1時間半駆け足で回った。ともかく北方領土に足を踏み入れたかっただろう。

 ロシアの有力な日本専門家は「メドベージェフは昨年9月、大統領ポストをプーチンに譲って以来、弱い指導者とみなされ、国民に軽蔑されている。誰も彼を相手にしない。何とか政治的復権をと躍起になり、一昨年の国後視察で評価が上がったことを思い出し、意味のないパフォーマンスをした」と酷評した。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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