メルケルの最大のライバルは「隣の奥さん」?

佐藤伸行
執筆者:佐藤伸行 2012年7月11日
カテゴリ: 国際 政治
エリア: ヨーロッパ

 ドイツのメルケル首相は欧州危機への対応をめぐり、オランド仏大統領と折り合いをつけ、6月末の欧州連合(EU)首脳会議ではまず「互角の分かれ」とした。7月8日にフランス東部ランスで開催された独仏和解記念50周年式典でメルケルはオランドと、抱擁とキスを交わしてみせ、2人は「フランソワ」「アンゲラ」とファーストネームで呼び合った。オランド政権発足後、ぎごちなかった独仏両首脳の関係は立ち上がりの固さがとれ、親密さを演じられるまでにほぐれてきた印象である。

 欧州危機対策の拡充を迫る仏伊スペインの攻勢の中、メルケルは欧州銀行への直接資本注入で譲歩したことが何かと批判されているが、ドイツ国民の大半は「メルケルはよくやっている」という評価だ。ドイツ公共テレビの最新の世論調査(7月5日発表)では、メルケルの支持率は66%と、前月から8ポイント上昇、過去3年間で最も高い数字を記録した。与党・キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)に対しても、欧州危機への対応を信頼できると答えた割合は42%に達し、最大野党の中道左派・社会民主党(SPD)を信頼できるとした17%に大きく水をあけている。

 とはいえ、来年の総選挙で3選を目指すメルケルにとって、なお茨の道が続いていることは言うまでもない。メルケルの個人的人気は高いとはいえ、政党支持率を眺めれば、メルケルの連立パートナーである自由民主党(FDP)は絶望的な水準にまで低迷しており、SPDと「90年連合・緑の党」の左派連合が政権を奪回する可能性は例によって小さくない。

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執筆者プロフィール
佐藤伸行
佐藤伸行 追手門学院大学経済学部教授。1960年山形県生れ。85年早稲田大学卒業後、時事通信社入社。90年代はハンブルク支局、ベルリン支局でドイツ統一プロセスとその後のドイツ情勢をカバー。98年から2003年までウィーン支局で旧ユーゴスラビア民族紛争など東欧問題を取材した。06年から09年までワシントン支局勤務を経て編集委員を務め退職。15年より現職。著書に『世界最強の女帝 メルケルの謎』(文春新書)。
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