「ヤムナー高速道路」の開通~インフラ主導型地域開発の成功例となるか

 高金利・通貨ルピー安による設備投資意欲の減退や高額消費財の売れ行き減速、政治のはざまで立ち遅れる小売業など外資規制の緩和、そして農民や貧困層に優しい政治を目指した結果の巨額財政赤字等々、このところインド経済を巡っては暗い話題が相次いでいた。こうした中にあって、これはトンネルの先の一筋の光、ともいえそうなニュースだ―――。

 人口約2億人を抱えるインド最大の州・ウッタルプラデシュ州で建設が進んでいた「ヤムナー高速道路」が8月9日、完成し供用を開始した。この高速道路は、首都ニューデリー郊外の工業地帯グレーター・ノイダから、かの有名なタージ・マハルを擁するインド北部の観光都市アーグラーを結ぶ全長165キロ・片側3車線の高規格自動車専用道路である。

 中国やASEANでの事例に慣れてしまうと、何ということはない道路の新規開通として見過ごされがちだが、インフラ不毛の地インドでは大きな意味を持つ出来事なのである。

観光・産業開発のテコに

 インドにおける有料の高速道路と言えばこれまでは、商都ムンバイと文教都市プネーを結ぶ「ムンバイ・プネー高速道路」(2002年開通、93キロ)や、09年に開通したムンバイの海上高速道路バンドラ・ウォルリ・シー・リンクなど、総延長200キロ少々に達するのみで、中国と比べると実に400分の1程度しかなかった。このことを考えると、ヤムナー高速道路がいかに画期的なインフラ事業であるかがわかる。

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執筆者プロフィール
山田剛 日本経済研究センター主任研究員。1963年生れ。日本経済新聞社入社後、国際部、商品部などを経て、97年にバーレーン支局長兼テヘラン支局長、2004年にニューデリー支局長。08年から現職。中東・イスラム世界やインド・南アジアの経済・政治を専門とする。著書に『知識ゼロからのインド経済入門』(幻冬舎)などがある。
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