新しい「紅い資本家」が台湾を動かす

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2012年9月6日
カテゴリ: 国際
エリア: 中国・台湾

 台湾に、「紅い資本家」が誕生しようとしている。
「紅い資本家」という言葉には注意が必要だ。

 1980年代から90年代にかけて、中国の改革開放政策の下で香港などに進出して荒稼ぎし、その富を中国大陸に持ち帰ることに成功した者たちがいた。中国国際信託投資公司の創設者で、国家副主席も務めた栄毅仁などが代表格だった。彼らは最初に「紅い資本家」と呼ばれた人々だ。

 1997年に中国に返還された香港では、企業家たちが先陣を切って中国政府の軍門に降った。彼らは対中ビジネスのうまみに優先的にあずかりながら、香港社会における中国支持勢力を形成した。香港発の「紅い資本家」である。

 また、中国において急激に増えた民間企業経営者たちは、本来の共産主義理論では「階級敵」であった。その彼らが、江沢民時代に打ち出された「3つの代表」論によって入党を認められたときも、「紅い資本家」の登場と騒がれた。

 要するに、その時代、時代によって、共産党が指導する中華人民共和国と親しい関係を結んだ企業家が「紅い資本家」なのだとも言える。

 本論で提起する台湾の「紅い資本家」は、2008年の国民党の政権復帰、そして対中関係の劇的な改善がもたらした副産物であり、最も新しい「紅い資本家」である。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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