アジャーニ、ドパルデューが演じるDSK夫妻

国末憲人

イザベル・アジャーニ、ジェラール・ドパルデューといえば、フランスを代表する映画スターである。この2人が主役として出演するというのだから、1988年の共演作「カミーユ・クローデル」に匹敵する文芸大作かと思いきや、テーマは何と、スキャンダルで昨年失脚した国際通貨基金(IMF)のドミニク・ストロス=カーン(DSK)前専務理事。DSKの株も随分上がったものだ。

DSKをドパルデューが、その妻でジャーナリストのアンヌ・サンクレールをアジャーニが演じる。監督は米国のアベル・フェラーラで、ワシントン、ニューヨーク、フランスで撮影するそうだ。アジャーニは「米国の監督との仕事だから、政治的な立場を問われなくて済む」と仏紙に語った。

ドパルデューはもっとはっきりしている。DSKを「傲慢で自己中心的だ」と容赦なく批判する。「あいつを大嫌いだからこそ、演じることにしたんだ」。ドパルデューとDSKは、ちょっと風貌が似ている。女好きとしての評判も共通しており、適役かも知れない。

片や夫は、国際機関のトップであり、フランス大統領選で社会党の最有力候補と見なされていた。片や妻は、「フランスで最も有名な女性」といわれたテレビスターである。その実態はどうだったのか。映画がそれを描く前に、夫妻の周辺を取材したジャーナリストらの著書が最近いくつか出版されたので、1冊を手にしてみた。ベストセラーとなった『レ・ストロス=カーン』。著者のラファエル・バケとアリアーヌ・シュマンはともにルモンド紙の編集委員で、フランス政治の裏側を書かせたら随一との評判が高い。

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執筆者プロフィール
国末憲人
国末憲人 1963年生れ。85年大阪大学卒。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。富山、徳島、大阪、広島勤務を経て2001-04年パリ支局員。外報部次長の後、07-10年パリ支局長を務め、GLOBE副編集長、本紙論説委員のあと、現在はGLOBE編集長。著書に『自爆テロリストの正体』(新潮新書)、『サルコジ―マーケティングで政治を変えた大統領―』(新潮選書)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』(いずれも草思社)、『ポピュリズム化する世界』(ダイヤモンド社)、共著書に『テロリストの軌跡―モハメド・アタを追う―』(草思社)などがある。
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